手話で行う日本語講座 カリキュラム

日本語の文法・語彙・聴覚障がい者の誤用分析・日本語の使い分け・ビジネス関連の文書など 45講座の充実したカリキュラムです。

文法(23種)

必要不可欠な助詞
助詞「は」と「が」
〜主題と主語の違い〜
「私は」「私が」の使い分けを間違える人がたくさんいます。一般の聴者には説明が難しい内容ですが、「は」と「が」の機能をキチンと解説いたします。
格助詞(1) 「を・に・へ」 助詞の「を」には6種類、「に」には13種類、「へ」には2種類の機能があります。それらについて解説します。聴覚障がい者は助詞の間違いが非常に多いのでキチンと説明します。
格助詞(2)「で・と・より・から・まで」 「会議室打ち合わせをします」「会議室パソコンがあります」、似たような文章で、なぜ「で」を使ったり「に」を使ったりするのかを、わかりやすく説明します。
並列助詞と助詞の「の」 並列助詞の「と」を使えば何でもつなげられると思っている人が多いので、ルールを説明します。また「の」の使い方も併せて学びます。「× 会社へ行きました、仕事をしました」
間違いの多い文法
自動詞・他動詞 「生まれる・生む」は手話では同じ表現ですが、日本語に換えるとそれに付随する助詞も変わります。聴覚障がい者は自動詞と他動詞の間違いが目立ちます。「×赤ちゃん生まれる」
受身(〜られる) 日本語の受身形の作り方を知らない聴覚障がい者が多いので、違和感のある文を作ってしまいます。受身形の作り方をキチンと学びます。「×役員の件、石川さん 断れて残念です。」
使役(〜させる) 手話の使役とは構文が違うので、日本語の使役形の作り方を間違える人が非常に多いです。使役形の作り方をキチンと学びます。「× 明日は休まさせていただきます」
使役受身(〜させられる) 「使役形」と「受身形」双方の活用が身についていないと書けない表現です。 使いこなせない人がほとんどですが、活用をキチンと説明します。
規則をキチンと学ぶ
テ形の基本 「昼食を食べています」と「パソコンが壊れています」では、形は同じですが、文法的には異なります。また「書きます⇒書いて」「飲みます⇒飲んで」などテ形の作り方も指導します。
テ形の応用 「〜てある」と「〜ておく」の違い、完了を尋ねる疑問文の答え方(もう食べましたか?−×まだ食べません。/ ○まだ食べいません。) 「〜てしまう」には「後悔・寂しさ・残念な気持ちを表す」場合と「完了」を表す場合があること、などを説明します。
複文 長い文の中に別の文(節)が含まれている、複文のルールを学びます。  「×<誰か いる>気配を感じる」⇒「○<誰か いる>気配を感じる」
条件節(「たら」「なら」「ば」「と」) 条件の表現は、とても複雑です。「たら」「なら」「ば」「と」の使い分けを学びます。「×もしわからない、メールをください」
さらに向上
終助詞「ね」「よ」「よね」 手話には終助詞をつけませんが、日本語の文章を書く時に無理して使って間違える人がいます。聴者が無意識に使い分けている「ね」「よ」「よね」などの違いを学びます。
判断の表現「そうだ」「ようだ」「みたいだ」「らしい」 「雨が降りそうだ」(様態・外観)と「雨が降るそうだ」(伝聞)の違いを学びます。さらに「ようだ」 「みたいだ」「らしい」の使い方も説明します。
物の数え方 様々な助数詞(頭・枚・足・杯・棹…)、また「そのバラを3本ください」と「その3本のバラをください」の違いも学びます。
日本語を使いこなす
あいまいな日本語 「〜ないとはかぎらない」「〜ないこともない」など、日本語特有の「あいまいな表現」について学びます。「あいまいな表現」の意味がわからなかったためトラブルになった例もお話します。
インフォーマルな日本語 友達や同僚に対して丁寧過ぎる言葉を使うと違和感があります。親しい人のメールなどに使う「インフォーマルな日本語」のルールを理解しましょう。「片付けてしまう⇒片付けちゃう
義務・勧め・許可・禁止 「〜なければならない」「〜ないといけない」「〜ほうがいい」「〜ほうがよかった」「〜てもいい」「〜なくてもいい」「〜てはいけない」等の表現の作り方と意味を学びます。
やりもらいと敬語
授受表現(1)(「あげる」「もらう」「くれる」) 英語も手話も「あげる」「もらう」という2つの表現しかありませんが、日本語は3種類あるので非常に複雑です。正しく使い分けられない人がたくさんいます。日本語教育の重要事項です。
授受表現(2)(「あげる」「もらう」「くれる」) 補助動詞としての授受表現「〜てあげる」「〜てもらう」「〜てくれる」と、それぞれの待遇表現を学びます。使う機会が多いので、必ず身につけて欲しい表現です。
敬語(1)(尊敬語) 大きく分けて「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」と3種類あるうちの、「尊敬語」を学びます。知らないうちに相手に失礼なことを言わないように、社会人として必ず身につけなければならない項目です。
敬語(2)(謙譲語・丁寧語) 「謙譲語」と「丁寧語」を学びます。社外の人と話す時は、自分の上司についても謙譲語を使わなければなりません。その使い分けを学びます。敬語の間違いは非常に多く、その結果、職場での評価が下がってしまいます。
活用
動詞・形容詞の活用 「飲む-飲ない-飲ます-飲で」「おいし-おいしない」「きれい-きれいじゃない」このように手話とは違い、日本語の動詞・形容詞には活用があります。正しく覚えましょう。

仕事(10種)

ビジネス文書
ビジネス用語 ビジネスの場面で良く使われる表現「お送りいただいた資料を拝見しました」 「結果をご報告させていただきます」「よろしければ、お届けいたします」など聴覚障がい者が使いにくい表現の練習をします。 
社内メール 聴覚障がい者は日本語の間違いが多いため、聴者の上司や同僚の力を借りて文章を作成しますが、なるべく一人で正しいメールが送信できるように勉強します。
社内文書 社内文書のひな形を使い、実際に社内文書を作成してみます。不安だらけの社内文書に自信が持てるように指導します。
社外文書 社外文書には決まりごとがいろいろあります。頭語と結語、敬称の使い方、時候の挨拶、前文、末文を説明します。また「自称」「他称」の使い分けも学びます。「弊社」と「御社」、「拝受」と「ご査収」など使い分けの必要な表現を整理します。
ビジネス表現
人に頼む時・上司を誘う時の表現 職場では、誰かに依頼したり、上司を誘ったり、上司に誘われたりなど様々な場面があります。それぞれの場面で、失礼にならない表現を学びます。
待遇表現 「部長、お荷物を持ってさしあげます」日本語の文法としては正しいのに、なんだかしっくりこないのはなぜか。人間関係と場面を考慮する「運用論」の立場から、丁寧な表現を学びます。
職場での伝え方 職場で誰かに伝言メモを書くことがたびたびあります。人から言われた内容を正しく伝えるために、日本語の「引用(いんよう)」と「伝聞(でんぶん)」の表現を学びます。
お客様に対する表現 最近は社内メールだけではなく、直接お客様に接する仕事を担当する聴覚障がい者の方々が増えています。お客様に対して失礼にならない表現を学びます。
社内でよく使う表現 社内メールなど、社内でよく使われる表現をまとめました。日常の業務にすぐに役立つ表現を学びます。
マナー
ビジネスマナー 聴覚障がい者の方々だけではなく、聴者も知っているようで知らないビジネスマナーについて改めて学びます。

分析(5種)

分析
聴覚障がい者の誤用(入門) 聴覚障がい者(特にろう者)は、なぜ日本語を間違えるのか。「母語の干渉」という観点から、手話と日本語の違いを考えます。
表記のルール 聴覚障がい者の方から、「文章を書く時に、どこに『、』を打って良いかわからない。」という質問をよく受けます。『、』や『数字と漢数字の違い』など日本語の文章の表記について説明します。
聴覚障がい者の誤用例(1) 老若男女の聴覚障がい者が書いた日本語の文章を200例集めて分析した結果、文法の間違いが半数であるとわかりました。文例を見ながら、どこが違うのかを一緒に検証します。
聴覚障がい者の誤用例(2)
聴覚障がい者の誤用例(3)

応用(4種)

応用
日本語の使い分け(基礎) 手話では親指を立てるだけで表す「夫」ですが、日本語に直すと「夫」「主人」「亭主」「旦那」「うちの人」「お父さん」…いろいろな表現があります。日本語ならではの表現の違いを学びます。
日本語の使い分け(1) 日本語には、使い分けが必要な表現がたくさんあります。「営業部の岡さんは英語が得意なんだって」「あの人、帰国子女だから」。なぜ「その人」ではなく「あの人」なのか、説明します。
日本語の使い分け(2) 日本語には、似ているけれど使い分けが必要な表現がたくさんあります。「誰か来ましたか?」と「誰が来ましたか?」の違い、「〜ているところだ」と「〜つつある」の違いなどを学びます。
日本語の使い分け(3) 聴者は無意識のうちに使い分けができても、聴覚障がい者の方にとっては難しい言葉があります。「〜して」の5つの機能と、その否定形「〜ないで」「〜なくて」の違いなどを学びます。

語彙(3種)

語彙
擬音語・擬態語 聴覚障がい者の方にとって、意味のつかみにくい「擬音語」と「擬態語」について解説し、似ている擬態語「ふかふか」と「ふわふわ」など、微妙な意味の違いを学びます。
英語・カタカナ語 最近は、テレビ・雑誌・広告などに英語や外来語が氾濫(はんらん)しています。なんとなくわかったつもりで使っている言葉の本当の意味を説明します。
ホメ言葉と悪口の日本語 「なぜ悪口を学ぶの?」と思うかもしれませんが、良いと思って使っていても、実は悪い意味の言葉だったということがあります。人間関係をスムーズにするホメ言葉も併せて学びます。